| 島根のさかな |
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島根県水産試験場 編著
山陰中央新報社 発行 ¥1,300円+税
島根で漁獲される魚介類、島根の漁法、料理法などについての解説書です。
水産試験場の監修ならではの実戦的な内容が多く、島根の漁業の概要が分かります。
また、不思議に思っていた「タコガイ」が「アオイガイ」であることはこの本で分かりました。
2003年3月の新刊です。
以下、本文の一部から |
1.島根の海
和笛の幽玄の響きを想わせる、出雲地方の岩盤を基調とした地形。砂浜に開放的な神楽太鼓の音がよく似合う石見地方。しげさ節ののびやかな歌声が島影に響く隠岐地方。島根の海岸はこれら3つの風景によって構成されています。こうした地形や風景の違いは、出雲弁、石見弁、隠岐弁という3つの方言と見事に対応し、その地方独特の文化を育んできました。
東西に長く、地域によって言葉も風景も大きく異なる島根県ですが、どの地域にも共通しているものを一つあげるとすれば、それは日本海に沈む夕陽の美しさでしょうか。出雲、石見、隠岐のどの地方でも夕映の鑑賞ポイントが名所になっており、そこに生活する我々の眼は美しい夕陽に、そしてその夕陽が沈む日本海に向けられています。また、日本海は季節によって様々な表情をもち、春の鏡のような穏やかな一面もあれば、冬の荒々しく厳しい一面も持っています。
日本海は太平洋、東シナ海、オホーツク海などの外海と対馬、津軽、宗谷、間宮の4つの海峡でつながっており、対馬海峡からは、九州西方に端を発した「対馬暖流」が流れ込んでいます。対馬暖流は、沖合に広がる大陸棚を辿るように、沿岸から隠岐諸島を包み込んで北上しています。対馬暖流の流れは一定でなく、年によっても季節によっても変化し、島根県沿岸域の漁況海況を決
定する要素として最も大きな役割を果たしていると考えられています。
島根県の沿岸海域では海岸線から数km沖合までの所で、急激に深くなり水深100mに達します。そこから先は水深200mまで大陸棚が広がっており、特に西の見島沖と東の隠岐諸島を含む島根半島沖には、広大な大陸棚が発達しています。その中央部にあたる浜田沖では深海部が沿岸近くまで湾入し、複雑な海洋構造を作り出しています。

日本海を上記の図のA-B線で切り、その断面図を見ると、対馬暖流の流れる大陸棚の外側は約300〜1,300mまで急斜面となっています。日本海の200m以深には、「日本海固有水」と呼ばれる
水温0〜1℃のとても冷たい、しかし生物生産の素となる栄養塩類が豊富に含まれる海水が溜まっています。日本海固有水が対馬暖流の流況や海底地形の影響などで、中層や表層近くまでせり上がって形成されるのが冷水域で、山口県から若狭湾の沖合にかけては、「島根冷水」、「山陰若狭冷水」などの代表的な冷水域がみられます。そのほか、水深140〜200mの大陸棚上には「底部冷水」と呼ばれる水温10℃以下の冷水があり、潮汐や風などの影響により、沿岸に近づいたり離れたりしています。
このように、対馬暖流による暖かな海水と「日本海固有水」、「底部冷水」という一年中冷たい海水が存在するため、島根県沖の日本海には暖水性から冷水性まで幅広い生物たちが生息しています。熱帯地方の生物としては珊瑚の伸間も生息しており、アミメサンゴは隠岐諸島が日本海における北限となっています。
島根県沖の日本海で見られる温帯性の魚たちには、3つのタイプがあります。1つ目は定住型の魚で大陸棚周辺に生息しているイシダイ、マダイ、ムシガレイ、アンコウ、ケンサキイカなど主に底魚の伸間で、季節に応じて浅場と深場を移動しながら生活しています。2つ目はマアジ、マサバ、マイワシ、クロマグロ、ブリ、スルメイカなどの回遊魚たちで、冬から夏にかけて日本海を北上し、秋から冬にかけて南下していきます。回遊魚たちにとって島根県沖の日本海は、時には餌場、休憩場、越冬地となり様々な生活の場を捉供しています。
3つ目は、元々暖かな海に住む生物たちが夏から秋にかけて対馬暖流に乗って北上してくるものです。夏の海水浴で見られる縞麗な瑠璃色のソラスズメダイやキンチャクダイなどの熱帯魚、愛嬌のあるハリセンボン、20sにも成長するソデイカ(「アカイカ」)、貝のような殻を持つタコの伸間のアオイガイなどがいます。しかし、これらの生物たちは、冬の日本海の寒さに耐えることが出来ず、海岸に打ち上げられたりして死んでしまいます。こうした回遊を「死滅回遊」と言い、成長して自分たちの子孫を残すことなく、回遊先で全滅してしまいます。時として大量発生し、漁師さんたちを困らせる巨大なエチゼンクラゲや、出雲地方に伝わる竜神信仰で神の使いと崇められるセグロウミヘビなども、同様の生物です。
一方、亜寒帯から寒帯性の牛物にとって、島根県沖の日本海は生息域の南限に当たるものも多く、年間を通じて水温変化がほとんど見られない日本海固有水や底部冷水を中心に数多くの種類が生息しています。魚では、ソウハチ、アカガレイ、ヒレグロ、ウスメパルなどが作息し、底びき網漁業にとって重要な漁獲物とないます。また、マダラ、スケトウダラ、ホッケなど北の海を代表するような魚たちも、数は多くないですが生息しています。
魚以外の生物では、冬の日本海の昧覚として代表されるズワイガニ(「松葉ガニ」)をはじめ、ベニズワイガニ、エッチュウバイ、ホッコクアカエビ(「甘エビ」)、バフンウニなどが見られます。このように島根県沖の日本海では、暖水性から冷水性まで多種多様な生物が混在しており、県内各地の漁港で水揚げされる魚介類のバラエティーの豊富さは日本近海でも有数のものです。
しかし、これらの生物分布は常に一定というものではなく、その時々の海の状況により微妙に変化しています。これは、日本海の水温が長期的に変動しているためで、低水温期には普段あまり見られない冷水性の生物がより多く、高水温期には普段あまり見られない暖水性の生物がより多く見られます。
島根県沖の日本海では、平成4年頃から現在までずっと高水温期に入っています。これほど高水温期が長く続いたことは過去になく、島根県沿岸では今まで全く見られなかった暖水性の生物が!見つかったり、クロマグロ、メダイ、サワラなど暖水性の魚の漁獲量が増加するといった現象が起きています。
その地域、季節、時代によって様々な表情を持ち、数多くの生物たちを育んできた豊かな日本海から、私たちはたくさんの恩恵を受けてきました。しかし、これまで私たちは社会が発展していくなかで、海洋汚染や海岸線の埋め立て、資源の舌雌など、この豊かな海を粗末に扱ってきました。海の恵みは無限ではなく、一度その輝きを失ってしまったら、二度と取り返すことは出来ません。人と海、そしてそこに暮らす生物たちと共存するため、これから先私たちは一人一人が何をするべきかを考えていくことが大切でしょう。(松本洋典・為石起司)
アオリイカ
アオリイカはヤリイカやケンサキイカと同じジンドウイカ科に属しています。「スミイカ」、「ミズイカ」、「モイカ」、「芭蕉イカ」などとも呼ばれ、姿はコウイカによく似たイカですがコウイカのような硬い甲はありません。温帯から熱帯にかけての暖かい海に広く分布しており、春から夏にかけて成熟し、浅海のホンダワラ類などの海藻に房状に卵嚢(卵が入っている寒天質の袋状のもの)を産み付けます。
生まれたイカは急速に成長し、大きいものは10ヶ月程で胴長が50pにもなります。5〜12月頃まで定置網などで漁獲されますが、その後水温の低下とともに姿を見なくなります。冬の間どこにいるのかはわかっていませんが、春になるとまた産卵のために沿岸にやってきます。1年で成熟し、産卵後死亡すると考えられています。一般的に言われてきたアオリイカの北限は、太平洋沿岸では茨城県、日本海沿岸では新潟県でしたが、最近はもう少し北まで分布しているようです。
島根県では主に定置網で漁獲され、年間100〜400トン程度の漁獲量があり、特に島根半島で多く捕れます。春から初夏にかけては産卵のためにやってきた大型個体が主で、秋から冬にかけてはその年に生まれた小型の群れが中心となります。漁獲量は秋のほうが多いようです。
アオリイカはイカの王様といわれて、イカ類の中で最も味が良く、市場では超高級魚として扱われています。イカの肉の中には遊離アミノ酸(グリシン、アラニン、プロリン)といって、甘味のある成分が含まれています。アオリイカはそれら遊離アミノ酸の含有量がすべてのイカの中でナンバーワンなのです。ちなみに2番目以降はケンサキイカ、コウイカ、スルメイカといった順番になっています。
もうひとつ、アオリイカはその食味の良さもさることながら、近年レジャーフィッシングの対象として人気があります。産卵にやってきたアオリイカを防波堤や磯場から簡単に釣ることが出来ます。大きいものになると3〜4kg、胴長50cmを超え、釣糸を40〜50mも引き出すという釣味の良さは、釣人にとってたまらない魅力となっています。その釣り方ですが、アオリイカが、生きた小魚にしか反応しないことから、色々な工夫がされています。代表的なものに「餌木」と生きたアジなどを餌にする「泳がせ」があります。
餌木を使った通称「エギング」はいわゆるルアー釣で、餌を必要としないお手軽な釣り方として人気があります。これまで日本周辺にいるアオリイカは1種類であると考えられていましたが、景近の研究では、「アカイカ型」、「シロイカ型」、「クワイカ型」といった遺伝的・形態的・生態的に異なる3つの型があることが明らかになってきました。もう少し研究がすすめばアオリイカは3種類になる可能性があります。
日本海では今のところ「シロイカ型」しか確認されていませんが、3型それぞれの回遊経路についても研究が進んでおり、徐々にアオリイカのいろいろなことが解明されつつあります。イカの王様と呼ばれるほど美味しくて、釣っても楽しい、そんなアオリイカをいつまでも残しておきたいものです。(安木茂)
アワビ
アワビと日本人の関わりは古く、慶事の進物につける熨斗(のし)の風習はアワビの身を薄く熨したしたものに由来することをご存知の方も多いと思います。また、中華料理の高級食材でもある干あわびは、古くから日本の重要な輸出海産物であり、隠岐や出雲からも盛んに朝廷に献上され、中国へ輸出されていました。
一般にアワビと称されるものにはクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ、エゾアワビの4種がありますが、このうち島根県にはエゾアワビを除く3種類が生息しています。漁獲量のほとんどはクロァワビとメガイアワビの2種類で占められ、足に相当する身の部分の色から漁業者は前者を「クロ」、後者を「アカ」と呼んで区別しています。マダカアワビは3種の中で最も大型になり、以前NHKの人気番組「ぐるっと海道3万キロ」で隠岐西ノ島の大アワビとして紹介されて有名になりました。
当時は3s近い大型個体が素潜りで漁獲されていましたが、現在ではほとんど姿を見ません。
クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビの3種のアワビは見た目が異なるばかりでなく、その生態や行動も異なります。クロアワビは浅場を、マダカアワビは深場を主な生育場とし、メガイアワビは浅場から深場まで広く生息します。クロアワビは行動的で餌を探して動き回る性質を持つのに対し、メガイアワビ、マダカアワビはどちらかというと1個所にじっとしてひたすら餌の海藻が流れてくるのを待つという性質を持っています。
漁師さんがこれらのアワビを採った後の岩盤にはアワビの形がきれいに残っており、これを漁師さんはアワビの住家「ナシロ」と呼んでいます。この「ナシロ」ソ)ある場所は海藻の流れてくる通り道になっていて、漁獲された後にはすぐ新しいアワビが入ってくるといわれています。
現在アワビ資源は全国的に減少傾向にあり、島根県でも最近10年間で著しく減少しています。その原因は藻場の減少や乱獲など一ノ)諸説が唱えられていますが、実際のところよくわかっていません。このため資源回復を目的として、年間数十万個のメガイアワビの人工種苗が県内各地で放流されています。放流貝の貝殻は天体貝とは異なり、殻頂部(殻の一番高い所)が薄緑色をしているので、金ブラシ等で付首物を取り除いてその色を見れば放流貝かどうかを調べることができます。また、殻には樹木の年輸と同様にリング(輪紋)ができますので、殻全体を磨いてやれば年齢を知ることも可能です。
アワビは巻貝の中でも最も美味であり、単価も高いため、庶民の口にはなかなか入らない食材です。晩秋から冬にかけて産卵するアワビは夏が旬であり、料理法としては酒蒸し、バター焼きなどがありますが、生食するのがその特徴を最も活かした食べ方でしょう。生食は刺身にするのが一般的ですが、大型のものが手に人った時はできることなら水貝にするのが良いでしょう。水貝はアワビを2p角のさいの目状に切り、氷で冷やした3%程度の塩水に氷とキュウリ、ウドなどを添えたもので清涼感あふれる夏の料理です。
アワビは殻の長さが10cm以上の漁獲サイズになるのに4年もかかります。大切に守っていきたいものです。
アワビとトコブシの見分け方
アワビ類は外側に3〜4個の穴が
あいている。トコブシはこの穴の
数が6〜9個。 |
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トビウオ(ホソトビウオ・ツクシトビウオ)

初夏を告げる代表的な魚としてはカツオが一般的ですが、島根県をはじめとする山陰地方では、なんといってもトビウオです。平成7年には、華やかな夏を告げる魚として馴染みが深いこと、島根県の生産量が全国屈指であること、空中を飛ぶ様子は飛躍・跳躍のイメージがあることなどが理由となって、島根県の魚「県魚」に指定されています。
日本近海には約30種類のトビウオ類が分布しています。このうち島根県沿岸ではホソトビウオとツクシトビウオの2種類がみられますが、ホソトビウオの方がはるかに多く漁獲されています。ホソトビウオは5月中旬頃から7月中旬頃にかけて産卵のために回遊してきて、流し刺し網、定置網、底刺し網、船びき網、まき網で漁獲されますが、定置網以外のこれらの漁法はその産卵行動をうまく利用しています。
島根県では、ホソトビウオは「丸アゴ」「丸トビ」「小目」、ツクシトビウオは「角アゴ」「角トビ」「大目」とそれぞれ呼ばれていますが、トビウオ類を総称してアゴという呼び方は九州から山陰地方の広い範囲で使われています。網で捕る魚「アミウオ」が変じて「網魚」になったという話があります。また、飛ぶ鳥はアスカ、雑魚の「魚」を「コ」と読むことから、飛ぶ魚はアゴと呼ぶようになったともいわれています。
ホソトビウオの身は脂肪やエキス成分の少ないやや淡白な味で、刺身、たたき、塩焼き、つみれ汁、つけ揚げ(薩摩揚げ)などにして食べられます。また、卵巣も珍味で、煮付けなどにされ出雲地方などでは好んで食べられています。加工品としては練製品、干物、くん製品などがあり、特に出雲地方一帯で古くから作り伝えられてきてきた竹輪様の練製品は、島根の名産「飛魚野焼き」として知られています。
ホソトビゥオの肉に塩、だし汁、地伝酒(甘口の酒を木灰で中和した調味酒)を加えて石臼に入れ、2〜3人が長い杵でつき上げ、それを女竹に直径6cm、長さ60pほどの大きさに撫で付けて、火の上で回しながら焼き上げるのが古式の製法で、「野焼き」の名称はこの作業が戸外で行われていたことから付けられたといわれています。昔は夏場のみの製造でしたが、現在は落し身またはすり身としての冷凍貯蔵方法が開発され、周年の製造が可能になっています。
また、隠岐地方などでは煮干し加工が行われ、「あごだし」として売り出されています。長崎県では秋に漁獲される未成魚を使っていますが、島根県では成魚を贅沢に使っており、上品な味わいで素材の味を十分に引き出すことから味噌汁、煮物、麺つゆなど多くのだしとして利用されています。(田中伸和)
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キジハタ
キジハタは本州沿岸から朝鮮半島、中国、台湾に棲息しています。全長は大きいもので50pくらいに達し、体つきはだ円形で口が大きく斜めに裂けており、魚体の全面にオレンジ色の小斑点が多数散らばっています。キジハタの「キジ」はこの紋様が鳥の雉の雄の羽に似ていることからこの名前がついたといわれています。この斑点は高齢魚になると不鮮明になります。
キジハタは群れで生活することはなく、沿岸の浅い岩礁域の岩穴などの隙間に単独で棲んでいて、エビ類、カニ類、魚類などを食べています。産卵期は7〜9月です。私たち人間を含む哺乳類は雄と雌に分かれ、生まれてから死ぬまで性が途中で変ることはありません。
ところが、キジハタの場合は少し変っていて、一度は雌として機能し、その後全長30cm位から雄に性転換します。飼育試験結果によると、同じ大きさのものを飼育していると、30cm以下でも雄に性転換するものが増えてくるそうです。また、群れの中に雌より大きな雄がいると、雌から雄への性転換が抑制され、雄に変わらないまま成長し30p以上になる雌もいるそうです。このように、キジハタは仲間同士で雌雄のバランスを調整しているようです。
島根県では、キジハタは「アカミズ」、「ワカミズ」、「アコウ」などと呼ばれます。周年漁獲されますが、6-9月が最も多く、全体の60〜80%を占めています。しかし、キジハタは群れることがないため大量には漁獲されません。平成12年の島根県でのキジハタの漁獲量は釣りで約3トン、刺し網で約2トン、定置網・底びき網などで約1トン、計6トン程度となっています。キジハタの1s当りの単価は釣によるものが最も高く約3,000円、その中でも活魚は5,000〜7,000円する場合もあるそうです。この価格を他の高級魚と比べて見ると、マダイは1,200円、ヒラメは2,300円で、キジハタがいかに高価かわかります。
キジハタは高級魚の上に超がつくほどの魚ですが、漁獲量はもともと多くなく、特に近年少なくなって「幻の超高級魚」と言われるほどです。そのため、漁師さんがキジハタに寄せる期待は特に大きいものがあります。各地では種苗の量産試験や放流試験が行われており、これらのお陰で、今まであまり知られていなかったキジハタの生態などが少しずつわかってきました。
漁獲量が非常に少なく、この魚を賞味する機会は稀かと思います。旬は夏で、くせのない白身の肉は脂がのり、淡泊で旨みがあって、小骨が少なくて捨てるところがないことから、刺身、塩焼き、煮付け、鍋物など、いろいろな料理に向いています。
(石田健次)
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サザエ
サザエは海水浴や磯遊びで比較的容易に目にすることのできる身近で親しみやすい巻貝です。価格もアワビの1/8〜1/10程度と安く、より庶民的な食材といえます。漁獲量はアワビよりはるかに多く、平成12年の島根県の漁獲量は654トン、全国ランキング第4位と全国でも有数の産地であることがわかります。
サザエの漁獲方法には、船上から箱めがねで海底をのぞき、ヤスで突いて取る「かなぎ・いそみ」、ウエットスーツを着用しての素潜り、網を海底に這わせて取るさし網などがあります。この他、夜間に浅瀬に上がってくるサザエやアワビを磯づたいに歩いて拾う夜叉手(よさで)と呼ぶ方法もあり、自家用の漁法として海辺の住民のささやかな楽しみでもあります。
島根県の規則ではふた径2.5cm(殻の高さ約6cm)以下のものの採捕の禁止や禁漁期間(5,6月)を設けて、資源保護を図っています。その甲斐あってか近年の漁獲量は比較的安定しており、サザエは磯根漁業の主要な収入源となっています。また、サザエは卓越年級群の発生による漁獲変動の激しい種類であることが知られています。
最近では昭和58年生まれの卓越年級群により、その4年後の漁獲量がそれまでの約8倍にも増加するというセンセーショナルな現象があり、今でも採貝漁業者間の語り草となっています。
サザエの産卵期は夏(7〜9月)で、この頃肝臓を取り巻くように生殖巣が発達します。いわゆるしっぽの部分のことですが、この部分が緑色であれば雌で、クリーム色であれば雄です。産卵後艀化した幼牛は数日のうちに着底し、稚貝は浅場のサンゴ藻(石火藻)などの小さな海藻の中で成長し、殻の高さは1年で1p、2年で3p、3年でやっと漁獲サイズの6cmに達します。
サザエの成長は太平洋と日本海側では異なり、太平洋側では赤ちゃんの頭位の大きさ(殻の高さ15p)まで大きく成長することがありますが、日本海側ではせいぜい大人の握りこぶし程度(殻の高さ10cm)までしか成長しません。最近の研究では両者のサザエには遺伝的な違いがあることが報告されています。
漁獲量が多いことから夏を旬とする場合もありますが、味が良いのは産卵期前の春です。壷焼き、刺身、サザエご飯などが一般的な食べ方ですが、たくさん採れる隠岐地方ではカレーの材料としてもよく使われており、海士町では町おこしの一環としてパック入りのレトルトカレーが商品化されて人気を得ています。
料理する時は新鮮なものを選ぶことは勿論ですが、できれば漁獲後何日か蓄養されたものの方が良いでしょう。蓄養中に消化管の内容物が排泄され、身からしっぽの先まで捨てることなく全て利用できるからです。サザエを食べる時、よくジャリジャリと砂を噛むような感じがありますが、その正体は砂ではなく、サンゴ藻という硬い海藻の破片です。本格的なサザエご飯はしっぽの部分は使わないようですが、できれば全部使用したいものです。くれぐれもサザエのゆで汁で炊くことを忘れないで下さい。
(佐々木正)
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マダイ
マダイは日本では昔から高級魚として珍重され、祝いごとには欠かせない魚ですが、この慣習と島根県とは深い関係にあります。
日本書記には、出雲の国造りを行った大国主命(おおくにぬしのみこと)の息子の事代主命(ことしろぬしのみこと)は、魚釣りが好きで、美保関で釣りをしたと記載されています。事代主命は、美保関町の美保神社に祭られますが、その後、右手に釣竿を持ち左手に鯛を抱えた、漁業、商売の神である恵比須さまとして庶民信仰を集めるようになります。
ちなみに、大国主命は出雲大社に祭られ、その後大黒さまと呼ばれるようになります。このように、祝い事にマダイが欠かせないのは、恵比須信仰の影響であり、その恵比須さまのルーツは、島根県出雲地方にあるのです。
マダイは九州や瀬戸内海での漁獲が多く、島根県の漁獲量は、平成11年では511トンで、全国的には第10位となります。主要漁法は、隠岐海峡を漁場とする沖合底びき網や、島根県全域で操業される小型底びき網や定置網、釣です。単価が高いのは、底びき物より定置網や釣で漁獲されたもので、特に活魚であれば、1s当り2,000円以上の高値を呼ぶこともあります。
しかし、近年、養殖マダイや輸入ダイの影響で、価格は下落傾向にあります。
隠岐諸島や島根半島では、春季に大ダイが漁獲されることから、産卵場と考えられています。特に、隠岐島前の浦郷では、定置網により50〜60p級のマダイが多数水揚げされ、その光景は壮観です。一方、大社湾、美保湾や、石見海域の砂浜域は、幼稚魚の保育場として重要な海域です。また、その沖合海域は、若齢魚の成育場となっています。
マダイは全国的にみても栽培漁業対象種に選ばれることが多く、島根県においても、昭和52年から、栽培漁業センターで種苗生産と放流が行われてきました。これまでの放流結果から、放流尾数と放流魚の水揚量との関係を調べてみると、たくさん放流したからといってそれに見合った水揚量が得られるわけではなく、ある放流尾数を越えると、効果は頭打ちになることが分ってきました。
また、人工的に生産された種苗は、外敵から逃れるトレーニング不足のため、捕食され易いのではないかということです。なお、天然マダイと放流マダイとは、前者が前鼻孔と後鼻孔が明瞭に分離しているのに対し、後者が前鼻孔と後鼻孔が癒着していることで区別できます。今後は、適正な放流尾数や種苗の質についての研究を進めて行く必要があります。(藤川裕司)
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ブリ

出世魚として名高いブリは成長するに従って呼び名が代わります。その呼び名も全国各地で異なりますが、島根県では「モジャコ」に始まり、「ショウジンゴ」、「ツバス」、「ワカナ」、「ハマチ」、「ヤズ」、「メジ」、「マルゴ」、「ブリ」と大きさによって様々な呼び名が付けられています。また、ブリの中でも、寒風吹きすさぶ冬の日本海で漁獲される10sを越す大ブリは、「寒魚師」と呼ばれ特に珍重されます。
その刺身は一切れ醤油につけるとさっと脂が広がり、口に入れるととろけるような味わい、それでいて養殖物のような癖はなく、まさに絶品です。ブリの産地として一般に知られているのは「富山」ですが、少し通になると「若狭」をご指名でしょうか。ところが、日本海でブリの水揚げが一番多いのは島根県です。多い年では6,000トン、少ない年でも3,000トンは漁獲され、長崎県と全国一の座を毎年争っています。
ブリは近縁のヒラマサやカンパチが世界中の温帯から熱帯海域に分布しているのに対し、東シナ海から日本列島周辺の限られた水域にしか分布しない、まさに日本固有の魚種です。学間的に記載されたのは、19世紀中頃で、かの有名なドイツ人シーボルトが日本からオランダのライデンに持ち帰った標本に基づいて、テミンクとシューゲルがファウナ・ヤポニカ(Fauna
Japonica日本動物誌)に発表しました。
ヒラマサはブリより少しスリムで体側の黄帯が濃いのが特徴ですが、外見はそっくり一です。両種の区別は胸鰭と腹鰭の長さや上顎の形が決め手ですが、新米の水試職員が市場でブリだと思って測定していたら、漁師さんに、「それはヒラだよ。」と言われて赤面することもあります。ヒラマサは、磯釣りの対象として人気者で、島根県でも秋になればあっちの磯、こっちの防波堤で太公望達が竿を振っています。漁業の面でも夏のしいら漬け漁業の稼ぎ頭で、漬けの回りにヒラマサの群れを見つけると、漁師さん達は「千円札が泳いでいる!」と興奮するそうです。
カンパチの方はブリやヒラマサより南に分布していますが、年によると島根県でも定置網や釣で漁獲されます。カンパチは最近、養殖などで、いささか供給過剰で価格が下がっているブリに代わって、市場での流通が増えてきています。
さて、本題のブリですが、産卵場は台湾に近い東シナ海の大陸棚縁辺部から九州西方の五島列島周辺、太平洋側では鹿児島南部から土佐湾にかけて広がっています。表面水温20℃前後が産卵の目安になっており、東シナ海南部では2月から3月頃、北の五島列島周辺では4月から5月頃と言われています。体長2p位から流れ藻につき始め、10p程度になると流れ藻から離れて行きます。
流れ藻というのはホンダワラ類の海藻がちぎれて、海の表面に漂っているものをいいます。ホンダワラ類には葉の変形した気胞があるため、ちぎれた後も海面に浮くことができます。沖合を漂う流れ藻は、ブリをはじめとして150種類以上の魚の産卵場や幼稚魚の保育場として利用されており、沿岸の藻場と同じような役割を果たしています。流れ藻は海流によって北に運ばれて行きますから、海のゆりかご兼輸送船団です。

ブリの稚魚が「モジャコ」と呼ばれている由来もここから来ています。島根県沿岸に「モジャコ」が姿を見せ始めるのは、5月から6月頃で、表面水温17℃が目安になっています。ブリの養殖は、流れ藻に付いた「モジャコ」を小型のまき網で採捕して養殖用種苗としています。ブリ養殖が盛んになるにつれて養殖種苗用のモジャコが大量に採捕され資源への影響が懸念されたことから、現在では県別に採捕尾数の割当が決められています。また、人工的に採卵しブリの種苗生産を行う研究も進んでいます。
流れ藻から離れたブリは、沿岸域で小規模な季節回遊を繰り返しながら成長し、3歳、体長60〜70p位になると、南の産卵場に向かって回遊を始めます。その後は、毎年、南の産卵場と牛まれ育った北の海の間を南北に大回遊します。冒頭で述べた「寒重師」は北の海から南の産卵場へ向かう群れが冬の時化で沿岸に寄り定置網に入網したものです。産卵を終えた群れは再び北上を始めますが、体長80cm、体重10sを越えるような大ブリも産卵後は数sも体重が減少します。
九州では、「痩せぶり」と呼ばれる産卵後のブリが定置網に入網しますが、これを養殖魚と一緒に生資で飼っていると、年末にはまた10sを超えるような立派な「寒魚師」に変身するそうです。
ブリを捕る漁法としては定置網が有名です。冬の「寒魚師」は定置網で漁獲されますが、時には1日で数千尾の大ブリが網に入ることもあります。1尾1万円はしますからまさに札束の山です。ただ、最近は定置網での漁獲量が減少し、まき網の漁獲量が半分近くを占めるようになりました。まき網は主に夏から秋にかけて漁獲されますが、この時期は体長が仲びる時期で、比較的痩せていることもあり、価格的には一番安い時期です。このほか、釣や刺網でも漁獲されています。
島根県で有名なブリの漁場は、東では出雲大社で名高い日御碕、西では益田市沖の高島でしょうか。隠岐島の周辺ももちろん良い漁場です。特に日御碕では、昔は素針をつけて竿を振るとブリが幾らでもかかったと言うほどですから一級のブリ漁場です。今でも、春と秋には一本釣で沢山のブリが漁獲されています。
最後にブリの料理法ですが、身は刺身や照り焼き、かまは塩焼き、残った骨や頭はあら煮と捨てるところがありません。この辺は日本を代表する国民的な魚ですから皆さん良くご存知でしょう。そこで、今日は少し変わった一品を紹介します。材料は「寒鰤」のトロ身、とこれはなかなか手に入りませんので、養殖もののトロ身を短冊状に切り、おしんこと合わせて巻き寿司にします。筆者は大学時代、なじみの寿司屋で、冬の寒魚師時期にしかできないこの変わり巻を楽しみにしていました。これに胡瓜を加えるとさらに珍妙な味わいとなります。皆さんもご家庭で手巻き寿司の折にでも御試し下さい。(村山達朗)
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ヤリイカ

子持ちイカの姿煮を肴に熱燗で一杯、寒い季節のささやかな賛沢です。この子持ちイカこそヤリイカなのです。ケンサキイカをスマートにした体形、胴の3分の2近くもある大きく細長い菱形の鰭を持っています。このイカの最大の特徴は、腕や角蛾が細く短いことなのです。この特徴から、県内では一般に「テナシ」と呼ばれていますが、隠岐地方ではテナシのほかに「チョギ」、「ケンサキ」、「ケンイカ(剣イカ)」とも呼ばれています。
ヤリイカはケンサキイカと同じように雄のほうが大きく、外套長が40pにもなります。一方、雌は小柄で外套長20〜25pぐらいで、産卵時期になると、この小さな体にたくさんの卵を抱えます。
秋には沖合の水深100〜150mの海底を回遊するため底びき網で漁獲されます。また、産卵期の冬から早春にかけては、沿岸域に大群で押し寄せてくるため主に定置網、いか釣、浮敷網などで漁獲されます。
ヤリイカの産卵行動は、テレビでよく放映され、交接の時には腕を組み合わせたり、抱きついたりしている映像をご覧になったことがあると思います。交接後は直ちに産卵活動に入るのですが、直径3oぐらいの卵が30〜50個入った卵嚢を岩礁や魚礁の天井部分、海藻、海底に沈んでいる木の枝、さらには定置網の魚網やドラム缶などの容器の内側にブドウの房状に産みつけます。交接、産卵行動時には、相当量のエネルギーを費やすため、その後は力尽きて死んでしまいます。
ヤリイカの主要な漁場は福島県常磐沖、北海道〜山形県沖、そして以前ならば対馬から隠岐周辺にかけての日本海南西海域でした。なぜ日本海南西海域を「以前は」としたのかというと、昭和50年代の乱獲により、その後の漁獲量が大きく減少したからなのです。島根県におけるヤリイカ漁は、昭和46〜47年頃から本格的に始まり、昭和50年代前半には漁獲の最盛期を迎えました。当時、多い年には1万トンを超える漁獲がありましたが、その後漁獲は急激に減少し、近年では350トン程度まで落ちこみ、幻のイカになりつつあるのです。
このイカは船上のみでなく、産卵期になれば磯や防波堤からでも釣ることが出来ます。リール竿、イカヅノがあればOKで、イカヅノに魚やイカの切り身を巻きつけて遠投し、しゃくりながら巻き上げ、その途中でイカが乗ってくればヒットなのです。巻き上げて足元まで寄せた時、近くに別のイカがいたら、一つのイカヅノで2杯のイカを釣り上げることも可能です。
ヤリイカには色々な料理方法がありますが、鮮度が良ければやはり刺身でしょう。次いでお勧めは期間限定の子持ちイカの姿煮です。あの卵のプチッブチッとした食感は何とも言えません。また小型のものは胴から足をはずし、もち米を胴に詰め、楊枝で止めて出し汁の中で煮る「いか飯」としてもよく、時には釣り立てのものを丸ごと焼いてもよいものです。隠岐島では、これに醤油ではなく、小醤油昧噌というもろみ味噌をかけて食べます。
ヤリイカの神経細胞は動物の中では最も大きいため、古くから医学分野、特に神経系の研究に実験材料として用いられています。また、最近コマーシャルなどでタウリンという言葉を良く耳にしますが、イカ類にはタウリンが豊富に含まれています。タウリンには糖尿病・肝臓病の予防、血中コレステロール値の減少、強心作用、視力回復などの効果があります。(道根淳)
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ワカメ
ワカメのことを島根県では「メノハ(布ノ葉)」、あるいは「ニキメ」と呼んで古くから食用にしてきました。ワカメは褐藻綱コンブ目の1年生藻で、天然のワカメは北海道の東側、九州、四国、紀伊半島の南端部を除いて全国各地に広く分布しています。
ワカメは生長すると茎の左右にひだができ始め、これが大きくなると、いわゆる「芽カブ」になります。芽カブはワカメの子供(胞子のう)をつくる部分で、春から初夏に成熟し、そこからとても小さい遊走子(千分の数o)が、たくさん海中に泳ぎだして岩などに付着し、糸状の固まり(配偶体)になります。そして、秋になると配偶休から発牙して、ワカメに生長します。こうした1年間の生長サ
イクルをうまく利用して、ワカメ養殖が行われています。
島根県ではワカメは昭和40年代に養殖技術が導入され、その後急速に各地に普及した結果、昭和40年代後半には早くも3,000トン前後の生産量がありました。しかし近年、着業者の減少や単価の下落に加え、海水温の上昇による牛産性の低下などによりワカメの生産量が落ち込み、平成12年では500トンとなっています。
全国的にみると、養殖ワカメの主産地は三陸、嶋門地方であり、島根県のシェア(牛産量)はわずか1%程度しかないのですが、平均単価は何と全国1位なのです。これは特産の板ワカメ加工による付加価値向上によるものです。板ワカメは、採取したワカメを淡水で洗浄、脱水後、カヤ製の賛に隙間の無いように重ね合わせ、天日あるいは乾燥機で乾燥させて作ります。
食べ方は、軽く焙ってその磯の香りとパリッとした食感を賞味します。この食べ方が、板ワカメ独特の味わい方です。残念ながら、近年では核家族化などで板ワカメの価値がわかる消費者が減少してきており、特に若い人は食べ方もわからず、味噌汁の具にしてしまうことがあるようです。
板ワカメはその風昧が良いだけでなく、数あるワカメ加[品の中でもビタミン類、ミネラル、食物繊維が農富であり、栄養価に非常に優れた自然健康食品です。最近はやりのサプリメントと称する高価な健康補助剤も手軽で良いかもしれませんが、板ワカメをはじめとする身近にある海藻類を普段の食生活に積極的に活用して頂きたいものです。
一般にワカメは葉の部分をサラダや味噌汁の具として食しますが、ワカメ養殖が盛んな島根県では、葉の部分に限らず茎や芽カブも上手に食べます。茎の部分はカラシ漬や佃煮などにし、芽カブはフードミキサーなどにかけ牙カブのとろろとして食べます。
特にカラシ漬は簡単に作ることができ、酒の肴にしても、ご飯のおかずにしても良し、毎日食べても飽きない味です。また面白い食べ方では「ワカメのしゃぶしゃぶ」があります。生ワカメをしゃぶしゃぶと鍋の中でかき混ぜてポン酢やゴマだれで食べます。味もさる事ながら、茶褐色のワカメが一瞬で鮮やかな緑色に変わる変化が楽しめ、小さな子供のいる家庭では大好評です。(佐々木正)
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イカ釣漁業
夏の夜、海上にいくつもの漁火が灯っていてきれいだなと感じたことがある人は多いと思いますが、そのほとんどはイカ釣りの集魚灯の明かりです。また、港にはさまざまな漁船が繋留されていますが、一見しただけでそれが何を漁獲する船なのか素人には見分けがつきません。
ただし、イカ釣船だけは別です。それだけ大きな特徴をもっているからです。なんといっても船首から船尾にかけて吊下げられたいくつもの集煎灯、まるで祭りの捉灯のようです。ただし、まき網の灯船なども集魚灯がついているのでさらに見ていくと、船べりに取り付けられた幾つものドラムとそれに連結した箱、これが自動イカ釣機で、この集魚灯と、自動イカ釣機のドラムがあればイカ釣船だとすぐに見分けられます。
イカ釣船はその大きさから、イカ釣(30トン以上)、小型イカ釣(5トン以上30トン未満)、一本釣などに分類され、それぞれの船は漁場が制限されています。
平成13年の島根県の資料によると、島根県には中型イカ釣船が3隻、小型イカ釣船が168隻あります。5トン未満の小型船は許可制ではないので正確な隻数はわかりませんが、数百隻に上ると思われます。
また、イカ釣漁業が対象とするイカは主にスルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカ、アカイカなどで、夜間に集魚灯を灯しイカを集め、錨状の針が何十木もついた擬餌針で釣揚げるという漁法です。その疑似針は「スッテ」とか「トンボ」とか「ゴンガラ」などと呼ばれています。
操業は夜間が一般的ですが昼間に操業する場合もあります。
(安木茂)
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はえ縄漁業
はえ縄は釣漁業の一種で、横に長く延ばした幹縄に釣糸を多数並べてつり下げ、魚を釣る漁法です。はえ縄には漁獲対象とする魚種により二通りの漁法があり、海底近くに分布する魚を狙う「底はえ縄」と、海面近くを回遊する界を狙う「浮はえ縄」があります。
島根県では水深130m以浅の海域で、主にアカアマダイを狙った底はえ縄が行われています。アカアマダイのほかにカサゴ類、マダイ、アカムツ、アナゴ類なども漁獲されます。現在、底はえ縄を行っている漁船は約200隻(90%が5トン未満)で、平成12年は漁獲量195トン、水揚金額2億8千万円となっています。
底はえ縄漁具は1本の幹縄にたくさんの枝縄を等間隔に結び、その先端に釣針を1本ずつ付けた簡単な構造をしていますが、釣漁業の中では最も規模が大きく、幹縄の長さは3〜12q、釣針の数は狙う魚種により異なりますが300〜1.500本となっています。このため、幹縄は取扱いやすいように数百mごとに竹かごに収容しています。これを鉢と呼んでいます。
はえ縄ではこの幹縄を準備するのに大変な手間がかかります。最近になって投縄時に餌を付け、揚縄時には残った餌の取り外しと縄操り作業を機械化した装置が開発されたようです。今後、船上や陸上での縄繰り作業にこのような機械が導入されれば、省人・省力化が図られ操業が楽になっていくことでしょう。(石田健次)
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かなぎ・いそみ

船の上から木箱の底にガラスを張った「箱眼鏡」で海底をのぞきながら、「見突き具」と呼ばれる竹竿の先に特殊な金具を取り付けた漁具を使ってアワビやサザエを捕る漁法を一般的に「見突き漁」といいますが、この漁法のことを島根県の出雲地区や隠岐地区では「かなぎ」、石見地区では「いそみ」と呼んでいます。
操業は箱眼鏡を口にくわえ、片方の手で擢を漕いで船を操り海底のアワビやサザエなどを探します。そして、もう一方の手で見突き具を使い漁獲しますが、捕る対象に合わせて先端の金具を替えています。サザエはサザエホコではさみつけて捕ったり、タモで捕ったりします。

アワビはアワビカキを使って岩場から剥がし、ヤスで突いて取ります。ワカメやアラメなどはワカメガマで刈り取ります。竹竿の長さは4〜6mぐらいですが、時には水深が10mにもなるため、水深にあわせて竹竿を継ぎ足して長さの調整をします。かなぎ漁の漁期は対象煎種の禁漁期間を除く、ほぼ周年となっています。(若林英人)
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